アジア

ウリン
1950年から1997年まで国外への輸出は禁止されていたため、ごく近年認知され始めた木材。水に沈むほど比重が重く東南アジア地域ではトップクラスの硬質木材と称されており、反りや割れに関しても非常に強い。また、耐水性が非常に強く、フナクイムシやシロアリなどの害虫被害にも強いため、港湾・岸壁施設に使われることもおおく、欧米諸国では高い評価と支持を得ている。ウッドデッキ材やその他エクステリア。桟橋・橋梁・船舶材・床材などに利用される。
カリン
東南アジア諸国を中心として分布する南洋材。素材は強靭で加工性にも優れている事から家具や楽器などの民芸品としての利用も多い。木材としては、その美しい赤色や、磨くほどに美しさを増す表面仕上げを理由にフローリング等の床材や建具材などとして利用される。反面、材の乾燥においては時間をかけなければ反りの原因となる性質を持っている。同じ呼称の木材でバラ科の「カリン」というものがあるが、それとはまったく別のもの。フローリング等の床材・ドア・内装材な等。装飾的利用頻度も高く、高級家具や楽器等でも多く使われている。
チーク
東南アジア諸国に広く分布する南洋材。高級材としての地位はゆるぎなく、フローリングの床材・高級家具材・その他、多岐にわたっての使用が見受けられる。性質として反りや割れ、ねじれなどにも強く、重硬かつ加工性のよさ・仕上がりのよさも支持される大きな要因。耐水性・防虫性もすぐれている。また材は、成材直後はさほど美麗とはいえないが、年経を増すごとに材自体が持つ油状の成分が染み出てきて他にない独特の「チーク色」へと変貌する。現在、一部の産出国で輸出禁止がかけられており、入手が困難になりつつある。タイ・インドネシアでは1930年代から育種が取り組まれ、植樹も盛んに行われている。ローリング等の床材・高級家具材・工芸品・内装材・建築材・船舶材など多岐にわたる。
コクタン
インドネシア(セレベス島)を中心に東南アジア全域に生育。また、アフリカの一部にも分布。家具材、唐木細工、仏壇、床柱、象嵌材、楽器材、工芸品など。また、ゴルフのクラブヘッドに用いられることでも知られる。属名のDiospyros(ディオスピロス)は「神 dios」+「穀物 pyros」で「神の食べ物」を意味し、果実は美味で食用となるものがあるが、中には有毒なものもある。
タモ
北海道を中心に本州中部~北部にかけて、国外では極東アジアにも分布する広葉樹。俗に【谷内だも】と呼ばれる事が多いが、谷地というのは、「湿地帯・低湿地」を指す。需要としては家具材としての需要が多く、稀に杢が見られる事があり、ベニヤ材としての人気も高い。硬質で弾力性に富む性質からスポーツ用品としての需要も少なくなく、アッシュとよばれるバット材はヤチダモの仲間を意味する。植林も盛んに行われており、広葉樹としては国内最大の造林樹種である。
ナラ
北海道~九州に分布し、主な産地として北海道が産の物が挙げられる。日本国産材。柾目には斑がみられ、その模様は虎の毛並みに似た様相から【虎斑(とらふ)】と呼ばれ、高級家具材などで用いられている。材は比重が重く、硬いという性質をもっているが、反面加工性に多少難易な部分でもあり、割裂しやすいので、釘打ちなどを施す場合、予備穴を開けておく必要がある。中国。モンゴルを中心として生息する【モンゴリナラ】の変種と考えられている。
クリ
日本各地のブナ・水楢・カエデ等と共に山間部に混在する。 稀に1.5メートルほどの幹幅まで成長するものもあるが、原木の大きさとしては決して大径に成育する種ではない為、希少価値が高い。材は硬質で弾力性に富む性質を持ち、耐水性も高く保存性に優れている。加工性に関してはさほどよいとはいえない。釘打などで割れる恐れがある。市場供給量が少ないこともあり、一般的には利用される機会は少ないが、日本独特の数奇屋の世界では珍重されている。
ケヤキ
本州、四国、九州に自生し、朝鮮にも分布する。我が国広葉樹のなかで第一の良材として古くから建築材、家具材、建具材、造作材として幅広く用いられる。 特に寺社建築に重用されたり、農家の大黒柱としても用いられた。古くは、ツキ(槻)とも呼ばれた。また、類似種と区別するため本欅と呼ばれることもある。玉杢、牡丹杢、泡杢などの美しい木目模様が現われることがある。
イチイ
北海道から九州までの深山に自生。庭樹・生垣などにも利用され、高さ10~15m、直径50cmほどになる。器具材、細工物、彫刻材、鉛筆などに使用。アイヌの熊の木彫りや岐阜県高山の一刀彫りなどが知られる。また、古来、飛騨国位山(クライヤマ)産のものは笏(しゃく)の材料として有名。イチイの名前の由来は、仁徳天皇がこの木で笏(しゃく)をつくらせ、それで正一位を授けたので「一位」と呼ばれるようになったと云われている。 葉は針葉で尖り、羽状につく。雌雄異株。三~四月頃葉腋に開花。実は九月頃熟し、橙赤色で甘く食べられる。よく寺院に植えられている伽羅木(キャラボク)は一位の変種である。
イチョウ
中国原産とされるが自生地は不明。古くから日本に入り各地に植えられている。庭木や街路樹としておなじみである。碁盤、将棋盤のほか、算盤珠、まな板などの器具材、印判、版木、木魚などの彫刻材、天井板などの建築材、漆器木地などに広く使われている。成長が早く、高さも30-40m、直径5mくらいまで成長する。葉は扇形で、よく広葉樹に間違えられるが、針葉がつながったもので、秋に黄変する。雌雄異株。秋、黄色の種子を結び、内に白色硬質の核がある。これを「ぎんなん」といい、食用となる。 イチョウはヨーロッパでは1億年前世界中で栄、その後絶滅したと考えられていた。それが日本に存在するというので大反響を引き起こし、進化論の父ダーウィンはイチョウを「生きている化石」と呼んだ。
アカマツ
本州北部から四国、九州に生育。また、朝鮮にも分布。建築材、造作材、土木材、船舶材、バルプ原料、坑木、経木など幅広く用いられる。クロマツ(黒松)より葉が細く柔らかい。 脂(ヤニ)を特に多く含んだ材は肥松(こえまつ)と呼ばれ珍重される。飾り棚、座卓、茶道具などに加工され、磨きながら使い込むとあめ色の美しい光沢が出る。
クロマツ
天然分布は、本州北部から四国、九州に至る。また、朝鮮南部や済州島にも自生する。建築材、土木材、船舶材、枕木、坑木など。樹幹から松脂やテレピン油を採る。葉は、アカマツ(赤松)よりも太くて剛く、より低地・海岸近くに多い。